環境や風土の違う海外には、日本では見られないような珍しいものがたくさん。お土産として買って帰りたくなることもありますが、そんな時は要注意。現地で販売されているものでも、日本への輸入が禁止されていることがあるのです。
反対に、日本で持っている分には問題なくても、渡航先で輸入禁止となっているようなものもあり、知らずに持ち込むと面倒なことになってしまいます。
そこでこの記事では、海外旅行の際に注意したい、輸出入規制について紹介していきます。
外国で買った野菜や果物に注意!
海外で気軽に手に入るもので、日本への輸入が禁止されているものに、野菜や果物があります。これは、海外から日本への植物の病害虫の侵入を防ぐのが主な目的で、「植物検疫制度」で定められています。
たとえば、アメリカに行った場合は、現地で購入したさくらんぼや桃、りんごなどは日本には持ち込めません。野菜でいえば、じゃがいもやパプリカ(ピーマン)も持って帰れません。そのほかにも、入国時に検査が必要なものもあります。
国ごとに持って帰れない野菜・果物は違うため、詳しく知りたい方は、農林水産省の施設等機関である、「植物検疫所」のホームページをチェックしてみましょう。
なお、特定の野菜や果物が輸入できないのと同じ理由で、海外の「土」は、すべての国・地域から日本に持ち込むことができません。ビーチリゾートの砂がキレイだからと、瓶などに入れて日本に持って帰ろうとすると、空港でストップをかけられる可能性があります。
また、野菜や果物以外の食べ物についても、肉製品や動物由来製品のほとんどは、日本に持ち込むことはできません。現地の土産物屋で販売されているものでも同様ですので、気をつけましょう。
毛皮や革製品はワシントン条約の規制対象の可能性も
輸出入を規制する条約に「ワシントン条約」があります。これは正確には「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」といいます。
1973年に国際取引によって生存を脅かされている、または、絶滅してしまう恐れのある野生動植物を保護することを目的として結ばれたもので、日本も1980年にこれに同意しています。
ワシントン条約の対象としてよく知られているもののひとつが、「象牙」です。高値で売買されていた象牙は、密猟や違法取引によって絶滅の危機に瀕したため、条約によって国際取引が禁止されました。当然、個人での輸出入もできません。
象牙などの「動植物そのもの」以外にも、たとえば漢方薬や彫刻品などに加工されたものも輸出入規制の対象となります。ハンドバッグや財布などにも注意が必要で、ワニやヘビ、トカゲなどを使用したものは、実際に日本への輸入が差し止められた事例もあります。
海外旅行者向けのブランドショップなどでは、こうした条約に配慮しているため、購入した製品を日本に持ち込めないという可能性は低いですが、現地の人を対象にした小売店などで買い物をする際には十分な注意が必要です。
偽ブランド品・コピー品は買わない、持ち込まない
ブランド品の偽物やコピー品を製造、販売することが罪に問われるということをご存知の方は多いと思いますが、実は輸出や輸入も「関税法」という法律で禁止されています。
海外のショッピングサイトなどから輸入するようなケースだけでなく、海外旅行先で購入したものを持ち帰っただけでも罪に問われてしまいます。
万が一、偽物と見抜けずに日本に持ち込もうとしてしまった場合も罪に問われる可能性がありますが、故意に持ち込もうとしたのでなければ、税関で没収されて終わりということになります。
いずれにしろ、空港で余計な手間を取らないためにも、ブランド品などは必ず正規販売店で購入しましょう。
生態系を破壊する可能性のある動物の持ち込みはNG
ペットの輸出入については、制限はあるものの、犬や猫など一般的な愛玩動物であれば、ある程度許可されています。ただし、事前届出や検査、証明書を発行してもらうことなどが必要ですので、短期の海外旅行で動物を購入したりすることは、あまり現実的ではありません。
動物の種類ごとに必要な手続きが違うので、どうしても輸入したいという場合は、動物検疫所の確認を取るようにしましょう。ただし、猿やプレーリードック、イタチアナグマ、タヌキなどは、ペットであっても海外から日本への持ち込みは一切禁止されています。
このほか、ワシントン条約の対象となるような動物についての輸入も、当然ですが禁止されていますし、もともと日本にいない外来生物を持ち込むことも、生態系が破壊される可能性があるとして禁止されています。
また、魚介類など水産物に関しても、一部輸入時に検疫を受ける必要のある品種がありますので、現地の食を日本に持ち込もうとする際は注意してください。
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